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AJA Video Systems 社のR&D チームに特別インタビュー 

TV TECHNOLOGY JAPAN -

— February 2024, Grass Valley, California

 

TVTJ : 現在、AJA 社の R&D チームが取り組んでいる業界のトレンドは何でしょうか?


Paul Turner : 当社は、メディア・エンターテインメント(M&E)業界やプロAV業界全体にわたり、いくつもの技術動向の変遷を経てきました。放送業界では、SDIからSMPTE 2110への移行が加速化しつつあり、その分野に踏み込もうとする顧客が増えている気がしています。同時にIPへのアプローチには、万能策などないこと、つまりSMPTE 2110がある顧客にとっては意味を成すかもしれないが、別の顧客にとっては、そうならなさそうなケースがあることも認識しています。そこでJPEG 2000、NDI、Dante AV関連製品の開発も継続しているわけです。こうした技術動向には、目を光らせておくことが重要です。そうすれば、顧客がどんなIP方式を採用するにせよ、顧客本位のSDIからIPへの移行を容易にするIPビデオワークフロー製品を作り続けることができるのです。

もう1つの関心分野がライブストリーミングです。ここ数年で主流となってきているため、特に注目しています。パンデミック以来、ストリーミングが、人々の日常生活の一部になってきており、教育現場、職場、参拝行事、各種スポーツ、ソーシャルメディアなどあらゆる場面に及んでいます。このため、利用可能なストリーミング・プラットフォーム、コーデック、プロトコルが大幅に増えてきている状況にあります。今ではストリーミングオプションの量の膨大さには圧倒されるものがありますが、だからこそAJAはBRIDGE LIVEのような多岐にわたるオプションに簡単に対応可能なソリューション開発に取り組んでいるのです。

 またHDRにも引き続き注目しているところです。HDRは、新たなプロダクション規格として急速に台頭し、日常的に目にするコンテンツの質を大幅に向上させました。しかしその反面、新たにワークフローの課題も浮上しています。当社のチームは、ColorBoxのようなHDRソリューションを顧客に提供することで、一般的なパイプラインの障害を緩和し、できるだけ動作がスムーズになるよう取り組んでいます。ColorBoxは、小型ながらも強力なツールであり、正式なカラー処理前に撮影監督や照明監督が、撮影現場で素材を良質に映像化し、プロダクション工程の早い段階でルックを調整しやすくなっています。


TVTJ : AJA 社の R&D チームはずっと気になってました。どうやってハイレベルなインスピレーションを持ち続けているのだろうか?って。


Paul Turner : 当社のチームは、映像・音響技術に熱心に取り組んでいるほか、色彩科学を含むさまざまな分野のプロダクション、およびポスプロの技術面にも力を入れています。社員一丸となって、顧客が技術的な不安を感じることなく、最高の仕事ができるよう、信頼性の高い超斬新な技術を創出することに注力しています。また、顧客が達成した素晴らしい成果の一部始終に立ち会えることに喜びを感じますし、そのことに触発され、当社の前進し続ける原動力にもなっています。顧客と密接に関わることで、出荷に勢いがある製品の改良につながる新しいアイデアを見極めることができ、ファームウェアやソフトウェアのリリースを通じ、そうしたアイデアが、新製品や新機能へと形を変える場合も少なくありません。


TVTJ : 御社のカスタマーは、どんな難関に直面し、それが御社のR&D チームにインパクトを与えていますか?


Paul Turner : M&EとプロAV全体にわたり、当社の顧客はかつてないほど多くのフォーマット、コーデック、トランスポート・プロトコルを使いこなしています。顧客の多くは、変化の激しい業界の性質上、すでに「先端技術」に遅れをとった機器を抱えています。高価なレンズとSDIカメラを購入したが、IPビデオで作業する必要が出てきたというケースもありえます。そのセットアップを切り替えようものなら、何千ドルもの損失になるかもしれません。そこで当社は、このような業界の変化に目を向け続け、新興技術の利点も生かしつつ、既存の機器を最大限活用できるようなソリューションの開発に取り組んでいるわけです。


TVTJ : 世界各地に渡る顧客を持ち、それぞれ違った固有の要求が多いはずですが、 R&D チームは、どのように対処していますか?


Paul Turner : 当社は、世界中の顧客、アジアやヨーロッパのチームとも緊密に連携を取り合っています。しかし、当社のチームが対処しなければならないのは、必ずしも地理的な違いではなく、むしろ、サービス提供先の垂直統合型ビジネスに伴う違いなのです。例えば、SMPTE 2110ワークフローの実装を目指す放送局が直面する課題は、大学や教会がDante AVのパイプラインに移行する際に直面する課題とは、全く異なります。HDRやSDRで最も高精細で高品位な映像配信に重点を置く顧客もいれば、高圧縮率の信号配信を目指している顧客もいるでしょう。また、適用範囲も顧客や地域によって異なります。例えば、ある放送局では、10台のカメラを活用するケースもあれば、先ごろメジャーなアメフト中継で目にしたように、100台以上のカメラを使用する放送局のケースもありえます。


TVTJ : AJA R&D チームの最大の強みは何でしょう?


Paul Turner : 長年にわたり、AJAは音響・映像技術の裏表を知り尽くした優れたエンジニアのチームを率いてきました。彼らは、堅牢なプラットフォーム構築のために何が必要かを知っており、ベースバンドからIPまですべてを理解しています。彼らの才能の奥深さには本当に感心させられます。AJAの全社員がメディア分野にフォーカスしており、その頭脳集団は当社最大の強みのひとつです。NHKからFOXスポーツをはじめとする多くの顧客を獲得できたのも、その賜物です。また、AJAの信条で筆頭に挙げられるのが、信頼性の高い製品開発である、と自負しています。会社のトップから下に至るまで、当社の技術は、常時機能の確保が必須要件という認識に立っています。


TVTJ : 近い将来 AJA R&D チームから、どんなものを期待していればいいでしょうか?


Paul Turner : ここで先の見通しは明かせませんが、AJAでは素晴らしい技術を開発中ですので、新着情報ページでそうした技術動向にご注目ください。NAB、IBC、InterBEEに、ご来場の際も、最新リリースやアップデート状況の確認、さらには、開発チームとの商談に向け、AJAのブースにお立ち寄りいただければと思います。


TVTJ : 楽しみにしています。ありがとうございました。

AJA ビデオシステムズ社 プロダクトマネージメント マネージャー、ポール・ターナー氏

Paul Turner, Manager, Product Management

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