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動画配信ビジネスの成功の鍵 – AWS による Observability (可観測性) と Monetization(収益化) の実現


動画配信の業界動向とユースケース


動画配信業界は近年大きな変化を遂げている。コロナ禍によりストリーミングサービスの視聴者が急増した一方で、サブスクリプション収支の適正化が必要になり、視聴者に継続利用してもらうためのユーザー体験の向上や広告付きプランといった新たなサービスモデルの導入が求められている。事業環境に対応しながら動画配信ビジネスを継続的に成長させるためには、メディア・映像処理、コンテンツ管理、サービスモニタリングなどの配信管理、各コンポーネントやユーザーから得られるデータを収集・集約して、そのデータを活用する、といった一連のワークフローを効率的に実行する必要がある。本稿ではこの一連のワークフローで、お客様がどのように アマゾン ウェブ サービス(AWS) をご活用いただけるか紹介していく。


動画配信を支える AWS


AWS はメディア業界向けのワークロードを 6 つに分類しており、Content Production、Media Supply Chain & Archive、Direct To Consumer & Streaming、Broadcast、Media Data Science & Analytics、Monetization といった包括的なソリューションを提供し、これらのワークロードは、メディア、エッジ、ストレージ、アナリティクスなどのサービスを組み合わせて構成される。スポーツイベントの配信といった大規模なプロフェッショナル動画配信から多数のユーザーが生成する多様なコンテンツを配信する UGC (User Generated Content)動画配信まで対応可能である。前述のワークフローにおいても、必要な機能を網羅的に実現可能であることに加えて、動画配信そのものに「データ」を活用してビジネス成長につなげるための「Observability(可観測性)」と「Monetization(収益化)」の側面にも注力している。


Observability(可観測性)


AWS は Workflow Monitor をリリースした。

Workflow Monitor は、AWS 上のライブ動画配信のワークフローを検出、可視化、監視してベストプラクティスに基づいたモニタリングとアラートを展開・維持できるソリューションである。ワークフロー内のリソースをグラフィカルなシグナルマップで表示し、リソースの状態や接続関係、ライブ動画のサムネイルを確認できる。複数のコンソール画面を行き来する必要がなくなり、各リソースの接続状況を把握することが容易となり、アラーム検知すべき推奨値をテンプレートとして提供しているため、素早く動画配信基盤の仕組みを構築することが可能となっている。



Monetization(収益化)


データの利活用は、Monetization においても活発に行われている。近年では 3rd Party Cookie 規制の流れに伴い、ログインなどを前提とした 1st Party Data の収集が進んでいる。

1st Party Data の多くにはメールアドレスやユーザーが回答した趣味趣向のアンケートデータなどの個人を特定できる情報が含まれており、取り扱いには注意が必要だ。加えて、1st Party Data だけでは自社データに限られるため、活用の幅を広げるためには他社の 1st Paty Data と掛け合わせる必要がある。その際には、データクリーンルーム (DCR) を使用し、複数社間で持ち寄ったデータを突合して分析する事を行う。集計処理した結果しか出力しない様に設定すれば、お互いに機密情報を保護しながらデータ分析が可能になる。AWS では、この DCR のサービスとして AWS Clean Rooms というサービスがあり、誰でも簡単に DCR を構築する事ができる。動画配信の領域で Clean Rooms を活用する例を挙げると、メディア企業が持つ広告配信ログとコンバージョン (商品の購入などの成果) が発生する広告主側のデータを突合する事で広告の効果測定が可能になり、広告主がマーケティング戦略に役立てる事ができる。更には、広告主データだけでは出来なかった広告配信ターゲティングを実現しより高単価な広告配信やリーチの拡大を実現することも可能である。



ビジネス成長への AWS の貢献


配信コンテンツは、価値の源泉である。コンテンツの価値を損ねずに視聴者にスムーズな視聴体験を届けるためには、Observability (可観測性)は欠かせない。さらに、ユーザーの行動ログを分析することで、リコメンデーションの強化などさらなる Monetize(収益化) 施策へ繋げていくことができる。その際に使う IT インフラは重要な土台となる。AWS を活用する事で、IT インフラのメンテナンスやスケーリングなどの管理工数を最小限にし、ビジネス価値を生み出す時間に集中する事ができる。また、AWS 上でシームレスに動作するソフトウェア製品を幅広いパートナーから調達できる AWS Marketplace も充実しており、映像に特化したパートナー企業との連携も深い。AWS は、技術面だけでなくビジネス成長も見据えたトータルな支援をこれまで国内外で幅広く提供してきた実績がある。


これから起こる変化や可能性


AWS による先進的な動画配信の一例として NAB Show 2024 Demo Showcase の Optimized FAST channel creation, Live-to-VOD automation, and secured enhanced video experiences を紹介する。

このソリューションは生成 AI の活用と AWS・パートナー企業の連携が大きな強みである。AWS の生成 AI サービスである Amazon Bedrock によるコンテンツ分析とメタデータ生成、超解像による高品質視聴体験の提供、フォレンジック透かし技術によるコンテンツセキュリティ強化、視聴データに基づく自動収益最適化チャンネル編成など、先進的な機能が実現されている。このように、動画配信と先進技術の融合によりユーザー体験の最適化、収益最大化、オペレーション効率化など、これまでにない可能性が開かれつつある。特に、生成 AI については進化のスピードが早いため、常に最新情報をキャッチアップする必要がある。AWS はこうしたお客様を支援するプロトタイピングプログラム、ML(機械学習)イネーブルメントワークショップなどを実施しており、まずは生成 AI のサービスを試したり、生成 AI を組み込んだアプリケーションを開発すると必要な情報や最新の機能の理解が進むだろう。AWS でも最新の生成 AI を使うためのサービスを幅広く取り揃えている。



最後にご紹介したような先進事例を動画配信の未来の一形態として見据えつつ、本稿でご紹介した Observability(可観測性)、Monetization(収益化) といった AWS メディアワークロードの機能を活用して段階的にクラウドジャーニーを進めていただくことが肝要である。AWS のサービスは柔軟に組み合わせられるためビジネスのフェーズやユースケースに合わせて必要な機能を実現できる。その際、具体的な構成方法を「AWS ソリューションライブラリ」から参照いただける。これは AWS ・パートナーが構築した検証済みのソリューションとアーキテクチャのガイダンスである。業界別ソリューションの「メディアとエンターテイメント」には、動画配信に関する様々なユースケースのパターンが収録されており、要件に合わせて参照し導入を検討することができるため、ぜひ活用していただきたい。

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